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スタッフ自身が通院したい歯科医院 ほりぐち歯科  荏原町&矢口渡


  

成人の上顎前突治療 その1

 成人女性の上顎前突症例。上の歯並び、下の歯並びを見ると、下の歯は多少の凸凹があるだけに見えます。歯科検診でも、注意深く観察しないと歯並びの問題点を見落としやすい症例です。
   
 上の歯並び 下の歯並び 
 上下の歯を噛み合わせて、横方向から観察すると上の歯が出ているのがわかります。
   
 このように、上の歯並び、下の歯並びはそれほど問題がなくても、上下の歯の位置関係がずれている症例も矯正治療で治すことができます。この症例は、上の歯が前方に出ているので、上顎前突症例といいます。上顎前突では、強く噛む時、前歯が噛まないので、奥歯だけに強い力が集中します。20-30代まではあまり問題がないのですが、40代以降強い力を集中して受ける奥歯にトラブルが出てしまいます。できるだけ、低年齢のうちに前歯も咬み合わせに参加させるようにしたいものです。この症例は、成人のため上の小臼歯を2本抜歯することで上下の歯の位置関係を改善することにしましたが、成長期であれば抜歯せずに咬み合わせを改善できたものと思われます。

 上顎前突症例では、顔貌(顔立ち)が綺麗に変化します。以下に比較写真
 術前 術後
 
     
     
     
     
     

術前、治療中、術後の変化
術前   1   2 3
 5
     
上顎前突では、しっかりと噛んだ時下の前歯が見えにくい(写真1)ので、患者様自身でも判別がつくことと思います。横顔では、上あごに比べ下あごが小さいことがわかります。唇を閉じることが難しいため、通常は口を開いていて、無理に唇を閉じると、写真2、写真3のように下唇の下が梅干しの種のようになってしまいます。
治療中 
   4  
成長期であれば、抜歯をしないで下あごを成長させることで上下のあごの位置を矯正することができますが、本症例は成人なので、骨の成長が期待できません。仕方がなく、白矢印部の第一小臼歯(犬歯の後ろの歯)を上あごのみ2本抜歯しました。歯を抜いたスペースに犬歯と前歯を緑矢印の方向に、移動させます。写真2のように、前歯4本には治療の後半までワイヤーを付けずに治療します。矯正治療中の見栄えも損なわないように治療します。
術後         
  
     
術後、一番の目的である前歯もしっかりと咬み合わせに参加させることができました。2本歯を抜くことにはなったのですが、実際に機能している歯を増やすことができています。また、顔貌がとても魅力的になっています。唇を閉じても、唇の下の“梅干し”が出来ず、美しい唇のラインに仕上がります。